私は仕事柄、障害のある方と一緒に過ごすことが多いのですが、今日、とても嬉しいことがありました。
A子さんとはもう2年近くのおつきあいです。
A子さんは、とても明るく、わたしが訪ねることをいつも待っていて下さいます。
けれど、支援する私がA子さんの手に筆を持たせ、一緒に何かを書く、という動作は大嫌いです。
手先に他人の力が加わるということは、防衛本能がとても強く働くらしく、時には私の手に爪を立てて抵抗されます。
そんなに苦手ならしなくてもいいじゃないか、と思われるかもしれません。
けれど、施設では、療育などで「支援者と一緒になにかを書く」機会は案外多いのです。
ですから、できれば、苦手意識がなくなるほうが望ましいといえます。
でないと、「人との関わり」のチャンスがその分減ってしまうのです。
A子さんとも、2年近く、少しずつ少しずつ「支援者と一緒に何かを書く」学びを積み重ねてきました。
そして、今日。
忘れもしない、今日の午後3時過ぎ。
いつもなら筆を持ったA子さんの手に私が手を添えるだけで、警戒心をあらわにするA子さんが、まったくそんなそぶりを見せません。
そして、すらすらすらっと、一緒に自分の名前を書くことができました。
あまりのオドロキに、一瞬言葉が出ませんでした。
障害があろうがなかろうが、人はずっと成長を続けることができる。
ある日突然、今まで上ることのできなかった階段を、ひょい、と上ってしまうことができる。
当たり前のことを、今日改めて認識しました。
うれしい、うれしい今日の午後の出来事でした。
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